第3回 dBmとWを行ったり来たりできるようになれ

■ なぜ両方必要なのか?

高周波回路設計では dBm を使います。
理由はシンプル。

✔ 利得は足し算
✔ 損失は引き算
✔ レベルダイヤが書ける

でも――

  • 化学反応を起こす負荷
  • ヒーター代わりの加熱
  • ダミーロード
  • 発熱計算(Ploss)

ここでは W(ワット) が必要になります。

つまり、

設計は dBm
現実世界は W

両方を行き来できることが重要です。

■ 基本式

dBm → W

P(W)=10dBm3010P(W) = 10^{\frac{dBm – 30}{10}}


W → dBm

dBm=10log10(P(W))+30dBm = 10 \log_{10}(P(W)) + 30

■ 100W の場合

まず覚えておきたいのは:

30 dBm = 1 W

そこから考えます。

1 W (1000mW)→ 30 dBm
10 W (10000mW)→ 40 dBm
100 W (100000mW)→ 50 dBm

100 W = 50 dBm

暗算できると強いです。

■ なぜ30を足すのか?

dBmは「1mW基準」。

1W = 1000mW
= 10³

だから10log10(1000)=3010 \log_{10}(1000) = 30

これが +30 の理由です。

■ 発熱(Ploss)の考え方

高周波回路では、必ず損失があります。

例えば:

入力 100W
出力 80W

差の 20W はどこへ行くか?

→ 熱です。Ploss=PinPoutP_{loss} = P_{in} – P_{out}

これをWで計算しないと、

✔ 放熱設計
✔ ヒートシンク選定
✔ 冷却ファン能力

が決まりません。

■ ここが現場ポイント

レベルダイヤ上では:

50 dBm → 49 dBm

「1dBしか減ってない」

でも実際は?

100W → 約79W

21Wも消えている

この感覚が大事です。

dBだけ見ていると
熱で壊します。

■ まとめ

✔ 設計は dBm
✔ 現場は W
✔ 熱計算は必ず W

両方を自由に変換できることが
高周波エンジニアの基本体力です。