第6回 整合(マッチング)とは何か

一方的な思いは届かない ・・・

直流回路に慣れていると、
高周波で最初に戸惑うのがこれです。

反射

直流では基本的に起きない現象です。

しかし高周波では、
エネルギーが戻ってくることがあります。

■ 一方的なエネルギーは届かない

例えば、

発振器 → ケーブル → 負荷

というシンプルな回路を考えます。

発振器:50Ω
ケーブル:50Ω
負荷:50Ω

この場合は

エネルギーは全部負荷に届きます

しかし

負荷が

  • 10Ω
  • 300Ω

だったらどうなるでしょう?

エネルギーの一部が

発振器側へ戻ります

これが 反射 です。

■ 反射の定義

反射は

インピーダンスが一致していないときに発生

します。

つまり

50Ω → 50Ω → 50Ω

なら問題なし。

しかし

50Ω → 50Ω → 10Ω

だと

整合(マッチング)が取れていない

状態になります。

■ 高周波加熱で起きる現象

例えば

マイクロ波加熱装置。

もし負荷が整合していないと、

  • 電力が戻る
  • 発振器側へ反射
  • 負荷へ届く電力が減る

結果

加熱しない

という現象が起きます。

■ 反射があるとどう見える?

測定では S11 を見ます。   S11(呼称:エスイチイチ)

S11とは

どれだけ反射しているか

を示す値です。       ※S11の意味は別機会で説明します。

スミスチャートでは

中央が

50Ω(完全整合)

です。

中心から離れるほど

反射が増える

ことを意味します。

■ 現場での感覚

新人の頃によく言われるのがこれです。

「整合していないと電力は届かない」

つまり

✔ 回路はつながっている
✔ 電気は流れている

それでも

エネルギーは届いていない

ということが起きます。

これが
高周波の世界の難しさです。

■ まとめ

✔ 高周波では反射が起きる
✔ 原因はインピーダンス不一致
✔ 整合(マッチング)が必要
✔ S11で反射を見る
✔ スミスチャート中心が50Ω

整合が理解できると、

  • アンテナ
  • 増幅器
  • 加熱装置
  • 測定

すべてがつながって見えてきます。